今回は、DJI Mavic 3 Multispectral(以下M3M)の紹介です。
名前の通り、4つのマルチスペクトルカメラを搭載しており、目では見えない農作物の生育状況の「見える化」に一役買うこと間違いなしのドローンとなっております。
デモ機自体は実は今年の2月頃に届いており少し遅れての紹介となりますが、
ドローンでほ場の測量や農作物の管理を行いたいとお考えの方、そもそもマルチスペクトルカメラ搭載ドローンでどんなことができるのか興味がある方はぜひご一読ください!
基本スペック
M3MはマルチスペクトルカメラとRGBカメラの2種類のカメラを搭載しています。
ジンバル上部が4台のマルチスペクトルカメラ。4つ整列しているのがなんだか可愛らしく見えてきました。左から近赤外線、レッドエッジ、レッド、グリーンです。
ジンバル下部がRGBカメラ。4/3型CMOSセンサー、2000万画素、メカニカルシャッターを搭載しています。
機体のサイズは折りたたみ時で223×96.3×122.2mm。
500mlペットボトル1本分ほどの大きさで携帯性抜群です。
青丸は標準搭載のRTKモジュールで、別売りのD-RTK2高精度GNSSモバイルステーションかネットワークRTKサービスを組み合わせることで、cmレベルで高精度の測量が可能です。
赤い丸は日照センサーで、観測時に捉えた太陽放射度が情報として記録されます。
その他スペックは以下のとおりです。
機体サイズ (プロペラなし) | 展開時:347.5×283×139.6mm |
機体重量(プロペラとRTKモジュール含む) | 951g |
最大飛行速度(海抜・無風) | 15m/s(ノーマルモード) |
最大飛行時間(無風) | 47分 |
動作環境温度 | -10~40℃ |
最大伝送距離(障害物・干渉がない場合) | 8km |
障害物回避機能 | 全方向(前後右左上下) |
送信機 | DJI RC Pro Enterprise |
現在はもう販売されていませんが従来機にあたるPhantom 4 Multispectralと比較すると、重さは1487g→951g、最大飛行時間27分→47分、5方向→全方向障害物回避になり、携帯性や安全性が高まったことがわかります。
M3Mの活用事例
太陽光は紫外線や可視光線、赤外線といったさまざまな波長の光によって構成されています。
また、物体はそれぞれ、特定の波長に対して反射の大小が異なるという特性をもっています。例えば植物は近赤外線光を大きく反射しますし、水は赤外線光をよく吸収(=反射が小さい)します。
このような特性を利用して、目では見えない情報をマルチスペクトルカメラは可視化することができます。
実際にM3Mは以下のようなさまざまな場面で力を発揮します。
〇圃場の管理
マッピング飛行を利用すれば、毎回同じルートを飛行できるので定期的なほ場管理・観測ができます。撮影したデータをDJI Terraに取り込むことで、
・RGB
・NDVI(正規化植生指数)
・GNDVI(緑化正規化植生指数)
・LCI(葉クロロフィル指数)
・NDRE(正規化レッドエッジ指数)
・OSAVI(土壌調整植生指数)
のデータを見ることができます。
こちらは同じところを写したRGBデータとNDVIのデータです。
NDVIは植生初期~中期における成長・栄養についての指標です。
数値は基本0(緑)~1(赤)で表され、反射率が高い=生育状況が良いほど赤で表されています。丸で囲っている部分は葉がなく枝のみの場所のため、NDVIでは緑色になっていることがわかるかと思います。
〇可変施肥(育成状況に応じて与える肥料の量を変えること)
DJI Terraに取り込んだマルチスペクトルデータを基に、農業ドローンが可変施肥を実行できるよう処方マップを作成できます。
無駄な肥料を播く必要がなくなるので、価格が高騰している肥料代の節約や環境への配慮にもつながります。
〇果樹園マッピング
傾斜地に多い果樹園でも地形フォロー航空測量を行うことで、より高精度なほ場の測量だできます。
ほかにも
〇病害虫対策
〇水質調査
〇地質調査
などの場面においてM3Mは活躍します。
いかがでしたでしょうか。
この記事を読む前よりも、少しマルチスペクトルについて知っていただけたら幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!!