今回は昨年発売されたDJI産業用フラッグシップドローンMATRICE 300 RTKを活用されている事業者様からの問合せが多い電波断絶時の対応についてご説明させていただきます。
「電波が断絶して作業ができない!」とお悩みのユーザー様は必見です!
※今回はD-RTK2を利用するVRS方式にて送信機の電源を切る形で電波断絶を再現しております。
~目次~
1. 電波断絶ってどういうこと?
2. 電波断絶時の挙動の設定ってどこでやるの?
3. 電波断絶が発生したときの挙動検証をやってみました!
4. まとめ
1. 電波断絶ってどういうこと?
まずは電波断絶についてご説明をさせていただきます。
電波断絶とはドローンの送信機と機体の電波が途切れてしまうことを言います。
DJI製品のドローンはドローン自身が墜落の危険があると感じたら「フェールセーフ」という完全機能が働きます。
フェールセーフ自体は機体が墜落しないように働く機能なのでものすごく便利なのですが
電波が届かない場所で作業をする場合(山間部など)、フェールセーフがあることによって自動操縦が途中で中断されることがあります。
そこで、今回は電波が断絶してもドローンの自動飛行を続行できる方法について解説をさせていただきます。
2. 電波断絶時の挙動の設定ってどこでやるの?
さっそく、電波断絶時の設定箇所をご紹介します。
通常の手順でミッションを作成した後、ミッションを実行する際に以下の実行ボタンを押します。
そうするとこのように送信機で作成したミッションを機体へ送信するための画面に遷移します。 その画面内の「制御不能アクション」の部分で電波断絶時の挙動の設定が可能です。
「制御不能アクション」で設定できる項目は以下です
この設定を「続行」にすることで、ミッション実行中に山間部など起伏の激しい現場で測量用の飛行をさせる際にどうしても起きてしまいがちな、ミッション実行中の操縦電波の断絶が起きたとしても、引き続きミッションを継続して続行してくれます。
前段でも説明していますが、本来、操縦電波が切れている状態でミッションを続行することは相応のリスクがあります。
本設定を適用する場合は追加の安全対策に万全の注意を払って運用ください!
※当社ではこういった設定を行う際にどういった安全対策が必要かなどお伝えする、ドローンの安全運用に特化した講習を行っています。ご興味のある方は是非下記をご確認ください。
現在募集中のイベント・講習会
3. 電波断絶が発生したときの挙動検証をやってみました!
ということで、電波断絶が発生したときの機体と送信機の挙動を以下の用に検証しました。
1, 送信機Aと送信機Bが両方とも機体と接続している場合
これはMatrice 300 RTKの特徴である2台の送信機を用いた運用を想定したメイン送信機側で電波断絶が発生した場合の挙動検証です。
通常、2台の送信機で運用する際は補助機である送信機Bを持っている方は、送信機A側で操縦電波の断絶が発生しても引き継げるよう、 送信機Aを持っている方とは離れた位置に待機しています。つまりこの検証はある意味業務中に最も頻発しうる挙動の検証となります。
2, 送信機Aのみが機体と接続している場合
これは、先ほどのように電波断絶が発生した際に補助者側で操縦権の引継ぎなど行わなえない場合や、そもそも送信機を1台しか運用しない場合、 送信機AもBも両方電波断絶が発生してしまった場合などを想定して完全に操縦電波が断絶してしまった状況を再現した検証になります。
3, D-RTK2との接続が途中で切れた場合
この検証は、操縦電波だけではなく、点群データを作成する際に点群データに正確な緯度経度の情報を与えるために必要な地上基準局である「D-RTK2」とのリンクが飛行中に切れてしまった場合の挙動検証になります。
操縦電波よりは切れにくいですが、やはり山間部などではこのRTKの通信も断絶してしまう可能性はあります。そういった場合の挙動も検証してみました!
1, 送信機A(機体、カメラの操縦権がある)と送信機Bが両方とも機体と接続している場合
分かりやすいように動画で挙動を撮影しました。
以下動画のように送信機Aの電源が落ちると警告画面が出てシームレスに操縦権の引継ぎができます。
わかりづらいですがこの際送信機Bは振動して警告が発生していることを補助者に教えてくれています。 警告画面のスクリーンショットも合わせて取得しました。
最終的な挙動としては以下のようになりました。
結果として送信機Aのみの操縦電波断絶であれば「制御不能アクション」は実行されないということのようです。
a.送信機Aの操縦電波が途切れると送信機Bに操縦が移行される
b.ミッション自体は引き続き続行される
c.ミッションの続行についてはアップロード時の設定を「RTH(ホーム帰還)」にしていても同じ挙動になる
2, 送信機Aのみが機体と接続している場合
こちらも分かりやすいように動画で送信機の電源を落とした後の挙動を撮影しました 最終的な挙動としては以下のようになりました。
制御不能アクションが設定されたとおりに実行されていることが確認できました。
a.送信機Aの操縦電波が途切れて「制御不能アクション」が「RTH(ホーム帰還)」なっているとミッションが中断される
b.送信機Aの操縦電波が途切れて「制御不能アクション」が「続行」なっているとミッションが引き続き続行される(動画の内容)
3, D-RTK2との接続が途中で切れた場合
こちらの検証動画では、電波断絶を再現するため、D-RTK2自体の電源を切ってその後再起動しています。
電波が途切れた瞬間はミッションが一次停止して機体はその場でホバリングしました。
その後、RTK環境下ではなく、GPS環境下でミッションを手動で続行したところ続行自体は正常に行えました。
ただ、途中からGPS環境下になっているため、取得した点群では30cm以上誤差が発生してしまいした。
4.まとめ
いかがだったでしょうか?電波断絶が発生した際の挙動についてここまで検証してまいりました。 残念ながら、最後のD-RTK2の電波が途切れてしまった場合の検証では、最終成果物が正しく取得できないという結果になってしました。
ただ、操縦電波だけではなくRTKの電波断絶も当然山間部の現場などでは頻発することが予想されます。
そういった時に正しいデータを取る方法として、「PPK」という方法があります。次回のブログではこのPPKを使った 電波断絶を気にすることなく完全自動飛行で測量データを取得する方法をご紹介します!
ここまでブログを読んで頂き有難う御座います。
「今回の検証で取得した実際の点群データが欲しい!」という方や「PPKのやり方次回のブログ迄待てない!」という方は 是非お気軽にお問合せください!
機体のお見積りがご入用の方も是非、当社にお声がけください、当社では見積をとっていただいた方に特典として L1で取得した各種検証データの生データと点群生成ソフト「TERRA」の1カ月分無料トライアル版をお渡ししています。
購入前に実際のデータを使って自社で各種検証が行えて便利ですので是非この機会にお問合せください!