今回は2024年1月に発売された、DJIからは初の物流ドローンである「DJI Fly Cart30」を利用した資機材運搬業務について実際に請負業を行った視点と販売店の視点から解説させていただきます。
これから物流ドローンを利用して新規事業を考えている方、既に導入したものの利用方法が見いだせない方は必見です!
はじめに
今回の現場では元々ヘリコプターをチャーターして運搬していた現場で、物流ドローンで運搬した実績はない状況でした。
大幅なコスト削減を目的に案件をいただき、飛行計画から業務管理までの期間は1か月かかりました。
物流ドローンは国内のドローン市場から見るとこれから成長する市場です。
現状は「あれば便利だけど利用価値が見いだせない」と言われがちですが、そうではなく間違いなく労働生産性が向上し主流になる運送ソリューションになると実際に請負業を通じて感じました。
この記事を通じて様々な分野の方に物流ドローンの魅力が伝われば幸いです。
ドローンによる資機材運搬について
ここからは実際に弊社で行った資機材運搬について報告させていただきます。おそらく2024年10月時点でFC30を利用してトータル2.5トン運んだ事業者は他にいないと思いますので、同じような利用方法を検討されている方は是非ご参考下さい。
※一部公開できないデータがありますが気になる点があればお気軽にお問い合わせください。
飛行概要
・目的:堰堤補修工事・日時:2024年9月~10月
・実施日数:7日間(内訳:ルート作成1日間、荷揚げ4日間、荷下げ2日間)
・人員:5名
・天候:晴れ、曇り、雨、濃霧
・運搬物:セメント、コンパネ、発電機、垂木、桟木、小道具等
・運搬量:2.5トン(往路:25kg×70往復 復路:25kg×30往復)
・片道:約3.5km(中継なし,終点側にバッテリーなし)
・飛行時間:約15分(資材の装着から着陸まで)
・高低差:約250m
・運搬モード:ウインチモード(延長ケーブル5m)
準備物
・DJI Fly Cart30本体 ×1台・送信機 ×2台
・バッテリー ×5セット(数量10本)
・充電器 ×2台
・発電機(200V) ×2台
・発電機(100V) ×2台
オペレーション内容
今回は 始点側と終点側にオペレーターを配置してデュアル制御モードにて荷揚げを実施しました。電波を遮る尾根が2か所ほどありましたが、常にどちらかの送信機が受信している環境を確保できたので安心して飛行できました。(設定時に工夫が必要です)1日間で約20フライト行うのでバッテリー効率が一番の課題でしたが、
充電時間が25分前後でしたので5セットで何とか運用できました。
※1日間に20フライト以上するような現場ではバッテリーが6セットあると安心です。
課題
本業務で感じたDJI Fly Cart30の課題は下記の通りです。・飛行距離の限界
⇒重量25kg前後の荷物を吊った状態での飛行距離は中継地点なし、終点側に予備バッテリーなしのオペレーションで実施すると片道3.5km~4kmが限界値であることが分かりました。
※4km以上運搬する現場は対策が必要です。
・山間部の連絡体制
⇒携帯電話電波が入らない、無線が通じない環境であったためオペレーター同士の連携が取りづらかったです。スターリンクの設置等対策が必要だと感じました。
・長物の梱包方法
⇒吊り方を誤るとかなり暴れるため運搬する機材によって梱包方法や吊り方に工夫が必要です。
まとめ
作業期間1か月とかなり大規模な資機材運搬でしたが、今回の業務で改めて業務を行う重要性が分かりました。
弊社ではDJI Fly Cart30の販売を中心に運搬請負も行っています。
請負業務で得たノウハウは弊社よりご購入いただいたお客様には余すところなくご提供させていただきますので、是非導入の検討材料にしていただけますと幸いです。
現在弊社ではDJI Fly Cart30用の教科書を作成中です。
完成度、皆様へもご案内させていただきますので次回の投稿も是非チェックしてください!